大判例

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東京高等裁判所 昭和43年(ネ)222号 判決

したがつて前認定のように控訴人佐藤の進行方向が「青」を表示している以上亡栄次郎の進行方向が「赤」を表示していたことは明らかで、さきに認定した距離関係からすれば、亡栄次郎が「赤」の信号か、その前の「黄」の信号で本件交差点に進入した公算が大であること否定すべくもないが、本件においては信号機の表示時間、亡栄次郎の進行速度、控訴人佐藤の加速した速度を明らかにする資料はないから、これを確めるに由なく、右の時間、速度の如何によつては亡栄次郎が「青」で交差点に進入した直後「黄」に変り、ちゆうちよしてふらふら進行するうちに、さらに、「赤」に変つた場合が考えられないわけではない。のみならず、仮りに亡栄次郎が信号を無視して交差点に進入したとしても、交差点内においては信号に従うことが絶対のものではなく、交通状況に応じて事故発生を未然に防止するよう適宜の措置をとることが要請されることは云うまでもないから、交差する他方道路の「青」の信号にしたがい進行していることを理由に控訴人佐藤の前方注視の基本的義務が軽減されるものではない。同様のことは亡栄次郎にもいえることであつて、交差点進行中信号が「赤」に変つたことは明らかであるから、前方左右、特に交差する他方道路の車両の進行に注意し、事故発生防止の義務があることは当然である。

しかしながら、さきに認定した事故発生の状況(衝突地点、衝突状況)を考慮すれば、本件は見とおし困難な地点で出逢い頭に発生した衝突事故と異り、控訴人佐藤は既に横断中の亡栄次郎に気付かず、横からこれに衝突し事故を惹起したものであつて、彼我過失の度合は控訴人佐藤が六、亡栄次郎が四と解するのが相当である。

(鈴木 岡田辰 麻上)

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